INTERVIEW
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推し売りのみっちーさん
[ COMMERCER INTERVIEW ]

推し売りのみっちーさん

美容中心のライブコマースチャンネル

美容ライブコマース

スマホ1台、ひとりで売るところから。売れる喋りを型にして、コマーサーを育てるチャンネル。

「推し売りのみっちーさん」は、多様なコマーサーが所属・配信する、美容中心のTikTokチャンネルだ。チャンネル名にもなっているみっちーさんは、スマホ1台を自分で立てて一人で売るところから始め、今は配信もしつつ、新たなライブコマーサーを育成している。

最初はびっくりするほど一筋縄ではいかないけれど、売れる力は身につけられる――そう言い切るみっちーさんに、売れる人の条件と、メーカーとの向き合い方を聞いた。

チャンネルに立つメンバー(中央がみっちーさん)
チャンネルに立つメンバー(中央がみっちーさん)
01

「推し売りのみっちーさん」という名前

Q.まず、「推し売りのみっちーさん」という名前に込めた意味から聞かせてください。

これはもともと、部下のメンバーが作ってくれた名前なんです。事業を始めるにあたって、チャンネルにではなく「みっちーさん」という人にファンがついてもらえたほうが、応援してもらいやすいのではないか。それで名前を入れました。

「推し」は、自分の好きなものを人に勧めるという意味でポジティブな言葉ですよね。私たちが好きなものを推して売っている、みっちーさんです、という流れで作られています。一方で「押し売り」のほうは、いい意味もあれば、若干マイナスな部分もあると思います。

コマーサーの方のアカウントって、たくさんあるじゃないですか。その中で埋もれずに私たちを見てもらうにはどうするか、と考えたときに、少し引っかかるけれど、なんだか気になる。その絶妙なラインは、アカウント名では常に狙うようにしています。

TikTok「推し売りのみっちーさん」(@oshimichi_)
TikTok「推し売りのみっちーさん」(@oshimichi_)
02

商品選定でこだわっていること

Q.商品を選ぶときに気をつけていることはありますか。

商品選定はめちゃくちゃこだわっています。私も配信者をやって分かったんですけど、自分がすごく好きだという熱量があればあるだけ、やる前から「これ売れるかも」と思えるんですよ。その感覚をみんなに持ってほしいと思っているので、まずは配信者の子たちが一番熱くなれる商品を選びます。そのうえで、それが今見てくださっているユーザー様に合っているかどうかを、すごく考えて選んでいますね。

Q.取り扱っている商品は、美容が中心ですね。

美容の取り扱いが多いですね。美容に力を入れているのには理由があります。世の中には商品がたくさんありすぎて、何を使ったらいいのか分からない方や、探す時間がないお母さんの方がたくさんいらっしゃるんです。その時間を短くできるようなチャンネルになったらいいな、と思って、もともと立ち上げたところがあります。

私は常に、自分がやっている事業で、誰かが楽しい気持ちになったり、いい気持ちになったりしてほしいと思っているんです。お客さんが買って「めっちゃよかったな」と思ってくれる。メンバーで言うと、これをやって自分の自信が上がったと思ってくれる。誰かに何かを与えられるような事業部でありたいし、人間でありたい。事業はずっとその軸で考えてやっています。

配信の様子
配信の様子
03

やってみて分かった楽しさと、忍耐が要ること

Q.実際にやってみて、思っていたより楽しかったところはどこですか。

生配信なので、リアルなお客さんの声を本当に直接聞けるところです。「これ、こういうときに使うとどうですか」「私これを持っているんですけど、これってどうですか」というご相談が何十件も来ます。そのご相談にお答えして、いいなと思って買っていただける瞬間は、今でもずっと楽しいし嬉しいですね。すごく達成感があります。

Q.逆に、大変なところは。

本当に正直、忍耐が必要ですね。ライブコマースをやったことがない方は、熱意を持って売るという喋り方自体を、おそらく人にしたことがないと思うんですよ。なので、「これ売れるかも」という感覚だけだったら、意外と売れない。最初はすごく落ち込むと思います。

そこからさらに、商品を魅力的に知ってもらって、最後まで買っていただくための話し方を身につけていきます。感覚的な部分が大きいので、毎配信ごとに振り返って、言語化して、継続的に見直して改善していく。そうやってコツコツ実力をつけていく努力と忍耐が必要です。

Q.ライブコマーサーになりたいという方には、「自分は話すのが得意だ」と思っている方も多そうです。

そうなんです。なので、みんな最初は自信を持って入ってくるんですけど、やってみると、思った以上にうまくいかないんです。喋れるには喋れる。でも、売るための喋りは別物で、そこは全員が一度つまずきます。

なので、「推し売りのみっちーさん」ではマニュアルも台本も用意して、毎配信ごとにすり合わせとフィードバックを1時間ずつ取って、型を身につけてもらいます。そうやってやっていくと本当に数字が出ていくので、サポート体制はかなり手厚くやっていますね。

Q.みっちーさん自身も、全部通ってこられたんですよね。

模索しながらでした。最初はスマホを自分で立てて、一人で売っていたんです。たくさん検証するために、スタジオを借りたり、会社の会議室を借りたり。夜遅くまで配信した後、仮眠して早朝の配信をすることもありました。とにかく、がむしゃらでしたね。でも全部試行錯誤して、再現性のある型ができたからこそ、今のサポート体制があると思います。

メインとサポートの2人体制で配信することも
メインとサポートの2人体制で配信することも
04

売れる人に共通していること

Q.「この子は売れるな、光ってるな」と思うのは、どういう人ですか。

言語化能力がある子かなと思っています。コミュニケーション能力が高い子はもちろんいいんですよ。ただ、商品をいかにいろんな視点で言語化できるか。例えば商品を紹介するときに、「こういう人にいいと思う」とか、「こういう成分があるから、こういう人にいいと思う」というのを、わかりやすくユーザーに伝えられるかどうか。なので、そういう言語化能力がすごくある子は、物が売れると思います。

また別で、人としての魅力がある子にはファンがつきます。言語化の力と魅力、その両方を持っている子は最強だと思います。どちらも、あとから身につけられるものです。

Q.「この商品がすごく好きで語れはするけれど、人に語ったことはない」という方も、意外と向いているかもしれませんね。

そうです、そうです。それを自分の言葉にして、嘘のない形で伝えられたら完璧だと思います。

配信に立つキャスト
配信に立つキャスト
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コメントは処理ではなく接客

Q.コメントを拾うところで、具体的にどういうことを意識していますか。

まず、大前提として、来てくださっていることへの感謝を表現していますね。ライブ配信って、1分間で何千人も入ってきて、入れ替わりが激しいんですよ。

新規の方には、安心感を持っていただけるようにします。名前を呼んで「来てくれてありがとうございます」と伝える。大事な時間を使ってくださっているので、心から感謝する。それを口に出したうえで「何かお悩みありますか」と聞いて、人が目の前にいるくらいの距離で会話をします。

リピーターの方に関しては、今まで一緒に会話してきた内容をほぼ全部覚えています。ご家族のことや、その日の生活のこと。「寝かしつけは終わりましたか」と聞いて、その方に興味を持っているというところをちゃんと口に出す。覚えていること、1対1の接客をしていることを、全部体で表す。口だけで言っていても伝わらないんです、画面越しなので。そこは徹底していますね。

06

ライブコマースとの出会い

Q.そもそもの話も聞かせてください。いろいろなビジネスがある中で、なぜライブコマースだったのでしょうか。

私たちはもともと、TikTokのマーケティングと広告の代理店を8年ほどやってきました。この領域では老舗のほうだと思います。そこに去年TikTok Shopが始まって、社内でTikTok Shop事業の拡大に取り組んでいこうということになりました。特にTikTok Shopは成長がすさまじく、市場も本当に伸びています。私自身、営業をずっとやってきたのですが、伸びている市場で事業の立ち上げをやってみたいという気持ちがありました。そこで状況と思いが合致して、TikTok Shopやライブコマースの事業を始めることにしたんです。

Q.代理店としての仕事と、自分たちで売ることは、つながっている部分がありますか。

TikTok Shopの運用代行もやっているんですけど、自分たちでも売っているので、掛け合わせがめちゃめちゃ効きますね。

Q.みっちーさんご自身も、ユーザーとしてかなり使い込まれていたそうですね。

めちゃくちゃTikTokに触れていました。広告代理店なので仕事でも当然触れていましたし、ユーザーのマーケティングみたいなものを考えるのもすごく好きなので。自分のチャンネルで扱っている商品も、自分でよく買っています。チャンネルの売上に貢献しながら、ユーザーとしても楽しんでいる感じです(笑)。

意外とみんな知らないんですけど、リアル店舗で売っているものがTikTok Shopだと安く買えることもあったり、TikTok Shopでしか売っていないものが存在したりするんです。掘り出し物が安くてお得でラッキー、みたいな感覚は、TikTok Shopのユーザーの方はすごく好きだと思いますし、私もちゃんとそこにハマっているなと思います。

07

悔しかったこと、手応えのあったこと

Q.これは悔しかった、という経験はありますか。

TikTok Shopって、アルゴリズムが本当にすごく変わるんですよ。私たちは再現性をすごく考えてやっている分、「TikTok Shopの仕組みが分かった、これで再現性のある施策が打てる」と思ったら、次の月には全然変わっている。最初は結構喰らってましたね。こんなにいろいろ計算していろいろやったけど、また変わるんだ、と。

だから今は、アルゴリズムに半分とらわれず、配信者のスキルを上げること、そのスキルに再現性を持たせることに軸を置いてやっています。

Q.逆に、やってきてよかった、手応えがあったと思えたのは。

どんな商品でも売れる売り方の型を自分なりに作って、それを配信者の子たちにやってもらったら、みんな数字が出ていく。そういう再現性ができたときは、すごく嬉しいですね。

コマーサーも、インフルエンサーと同じように、自分の色だけでは戦えない時期がいつか来ると思うんです。そのときに、営業のような話す型、再現性のある売り方を持っていて、そこに自分の色を乗せられたら、最強になれる可能性があります。

たとえば、クライアントさんによっては「こういうふうに売ってほしい」というご依頼があることもあります。そうすると、自分の色を出して、自由に配信するというわけにはいかないこともある。そういうとき、自由な持ち味に、営業の型のような整った売り方を混ぜられたら、さらに信頼性が増して、より大きい案件の依頼が来るかもしれない。「あのコマーサーは信頼できるし、任せればちゃんと物が売れる」。それを立証できたときが、一番嬉しいかもしれないですね。

Q.再現性とは簡単に言いますが、めちゃくちゃ難しいですよね。

めちゃくちゃ難しいです。しかも変わってくるので、どんどん追求していってブラッシュアップしていく。それはこの仕事につきものだとは思うんですけど、それが一個ずつ見えてくることが嬉しいなという感じです。

08

メーカーの皆さんへ

Q.チャンネルの特色や、集まっているお客さんとの相性を踏まえて組めるといいのかなと思うのですが、どんな依頼だと嬉しいですか。

まさにその通りだと思います。ライブ配信は生ものです。ライブコマーサーという人がいて、その人に商品が渡って、その人がライブ配信をして売っている。この「人」であるコマーサーが、生放送で商品の魅力を語っているということに価値があると思います。

なので、私たちの配信を1回でも見て、「この子にこの商品を売ってほしいな」という感覚を少しでも持っていただけていたら、すごくありがたいし、嬉しいなと思います。

お声がけいただくのはすごく嬉しいんですけど、「1か月で成果を出して」とバンと投げられたら、それは違う売り方のほうがいいのではないでしょうか、と正直にお伝えすると思います。

Q.メーカーさんに伝えたいことはありますか。

ライブ配信は生ものな分、「この商品をなんて伝えてくれるんだろう」と配信を楽しみにしてくださる方もいれば、逆に、そわそわされている方もいらっしゃいます。私もメーカーさんとやりとりさせていただいているので、その気持ちはめちゃくちゃ理解できるんです。

でも、「推し売りのみっちーさん」や、ずっと広告代理店の営業をしてきた私だからこそ、信頼いただける価値はあるかなと思っています。クライアントさんが伝えたいことやブランディング、商品の価値を崩さずにユーザーの方へ届けるのが、広告代理店の仕事です。その意識はとてつもなく強く持っています。

やったことのない方が伝える言葉と、私がこれまでの経験を踏まえて伝える言葉は、まったく違うものになるかなと思います。そういうところに興味を持って、安心してもらえるメーカーさんには、ぜひぜひ私たちにご依頼いただけたら、とても嬉しいです。

09

これから見てくださる方へ

Q.記事を読んでくださった方に、メッセージをお願いします。

まず、ライブコマースやTikTok Shopで物を買うという体験をしたことがない方のほうが、多いのではないかなと思います。でも本当に意外と簡単だったりしますし、その場で質疑応答みたいなことができるのは、すごく楽しいです。私は時間短縮にも、生活の価値向上にもつながると思っているので、ぜひ怖がらず、一回使ってみていただけたらなと思います。ぜひ私たちの配信を見に来てください。

[ Profile ]
チャンネル
推し売りのみっちーさん(@oshimichi_
所属・肩書
株式会社Leading Communication/GIVENT 事業責任者
経歴
新卒で動画広告メディアの営業を経て、2020年に株式会社Leading Communicationへ。営業部門で部長を3年務め、2025年9月より事業責任者
会社
株式会社Leading Communication(2017年7月設立・東京都渋谷区道玄坂)。TikTok運用代行、インフルエンサーキャスティング、SNS広告運用・制作、クリエイタープロダクション、事業開発支援
主な商材
美容
実績
少人数のチーム運営で月間1,000万円超え(同社公開実績
認定
MCN(マルチチャンネルネットワーク)/TAP(TikTok Shop Affiliate Partner)/TSP(TikTok Shop Partner)
[ 編集後記 ]

スマホ一台・ひとりで配信することから始めたみっちーさんは、がむしゃらに試行錯誤し、現在ではたくさんの後進を育て上げている。営業はもちろん、人事の経験もあり、伝える力・育てる力はライブコマーサーでもトップレベルであろう。所属ライブコマーサーは毎配信前後に1時間みっちりすり合わせもするとのことだ。クライアントの伝えたいことをくみ取り、ユーザーに惜しみなく、熱意をもって伝える。技術と熱意があるこのチャンネルに、魅力を感じるメーカーも多いだろう。