コンサル会社の経営を退いた2026年3月末、「営業以外で独立するなら」と選んだのがライブコマースだった。喋るのは嫌いじゃない――という動機で始めて、わずか2か月でTikTok Shop経由の月間流通額は合算で700万円を超えた。
大阪から毎朝6時、「餃子を売りながら、配信でお客様を元気にする」。飼い犬の名前を冠した“おこめのパパ”に、その歩みと“売れる理由”を聞いた。
浪速ええもん市場
食品ライブコマース
独立2か月で月700万円超え。大阪・朝6時、餃子とトークで人を元気にするライブコマーサー。
コンサル会社の経営を退いた2026年3月末、「営業以外で独立するなら」と選んだのがライブコマースだった。喋るのは嫌いじゃない――という動機で始めて、わずか2か月でTikTok Shop経由の月間流通額は合算で700万円を超えた。
大阪から毎朝6時、「餃子を売りながら、配信でお客様を元気にする」。飼い犬の名前を冠した“おこめのパパ”に、その歩みと“売れる理由”を聞いた。

Q.ライブコマースを始めたきっかけは?
もともと会社を経営していて、今年の3月末まで経営側にいました。営業を教えるコンサル業だったんですが、AIの力が強くて「コンサルはこの先ちょっと生きていけないな」と感じていて。営業を教えながら、自分自身も営業に疲れていた部分もあって。ただ「自分ならもっと行けるんじゃないか」という思いもあったので、営業以外で独立しようとなったときに――喋るのは別に嫌いじゃないし、「ライブやってみるか」と。それがきっかけですね。
Q.やめてすぐ、だったんですね。
3月の末ぐらいからです。すぐアクションしようと思って。もう気合いと根性だけでやらせてもらってます。
Q.いまは餃子など、食品を中心に販売されていますね。
2アカウントあって、「おこめのパパ」はコマース中心、もう1つ「おこめの保護者」は動画中心という形です。(ちなみに「おこめ」は、うちで飼っている犬の名前なんです。笑)
もともと餃子を食べて美味しくて、「これいけるんちゃう?」みたいな感覚で配信を始めたら、餃子がなぜかめちゃくちゃ売れて。食品はリピートも起こりますし。目指していたのは、配信をつけて10分以内に餃子のリンクを貼ったらパッと売れる状態。消費して、また「おこめのパパのとこで買おう」となる――そこはすごく意識して食品をやっています。
Q.他のコマーサーとの違いで意識している点は?
僕は朝6時から毎日やるんですけど、「仕事行くのだるいな」「明日面白くないな」みたいな人たちに餃子を売っていて。ちょっとクスッと笑ってもらったり、元気を出してもらう――それが実は裏テーマなんです。だから朝一からハイテンションでやっている感じですね。
Q.配信でいちばん大切にしていることは?
視聴者さんとの距離感と、枠の中のコミュニティですね。自分がコマース配信を見たときに「一方通行だな」とすごく思って。お得に買えたら満足はすると思うんですけど、「また買いに行きたい」にはならない。通りすがりのお店で安かったから買いました、ではリピートにならないなと。だから視聴者さん同士のコミュニケーションや、視聴者参加型をすごく意識しています。安く買えた人がいたら、ファンクラブの方たちが「ナイスバイ」ってスタンプを送る。みんなで参加する空気を作っています。
Q.最初、ファンがいない中で参加型は難しかったのでは?
最初は本当に孤独でしたね。1人で喋って、名前を読んでもスルーされて、みたいな。参加者は見られるので、長く滞在してる人の名前を読んで浮上させる、というのを意識していました。その積み重ねで、入ってきたら「おはよう」とコメントをくれるようになって。「この枠はコメントしていいんや」という空気感を作れたのは大きかったです。
Q.いちばん印象に残っている配信は?
2つあって。1つはTikTokのイベントで東京に出張したとき、ホテルで3時間だけ配信して、その3時間で餃子が70個くらい売れたこと。ライブコマースは旅行先でもできるんだ、すごいな、と痛感した1日でした。
もう1つは、一龍堂さんとコラボ配信したこと。セラーさんとコマースをすることで関係作りができて、社長が登場して絡んでライブする――自分の中では「レベルが上がったな」と思った1日でした。裏話をすると、これは戦略的に取りに行っていて。「餃子を1か月でいちばん売る」と決めて、いちばん売ったらさすがに目をつけてくれるやろ、と。一龍堂さんの餃子をたくさん売ってから、自分から「コラボ配信をやりませんか」「コラボ商品を作りませんか」と提案させてもらって、コラボ配信が実現しました。

Q.ライブコマースに向いているのはどんな人?
あんまり細かく考えない人が、めっちゃ向いてるなと思います。繊細にやりすぎると、やっぱりストレスがかかる仕事なので。ノりと勢いでできる人。あとは、画面の向こう側の人が喜んでいる姿をイメージしたときにワクワクする人。お金を稼ぐために回すとなると、ちょっとしんどい。楽しめる人ですね。
Q.今後の展望は?
理想は、TikTokがやっている地域コラボに呼んでいただくこと。これからコマーサーも競争の中で生き残れる人・残れない人が出てくると思っていて。その中で「こいつちょっと他と違うぞ」と思ってもらいたい。物売り感だけにならず、「おこめのパパは別に物を買わなくてもおもろいよね」と思ってもらえる存在でいたいです。関西ならではのコマースは意識したいですね。大阪で大きい事務所を構えてやられている方もいるので、いつかはそういう事務所を作りたい。今は家でやっているんですが、綺麗な環境でやっていくのも理想ですね。
Q.メーカーさんに求めることは?
ファン化を意識しているので、配送と値段は大事にしたいです。買ってくれた人に商品が届かない、配送事故があった、とならないようにしていただけると一番嬉しい。
マーケティングの部分で言うと――元値を高く設定して大幅な割引率を見せるやり方もありますが、僕がうまいなと思ったのは、ライブのタイムセール用に専用リンクを用意して、動画用はライブより少し高くする、という価格の使い分け。リンクで変えていただけると、コマーサー側もやりやすいんです。
一方で、表示上の割引と実際の割引が食い違うと、お客様に誤解を与えかねない。だからこそ、価格を正直に見せられるセラーさんとお付き合いしたいです。僕は、お客様に嘘はつきたくないので。
3月末に独立、気合いと根性で走り出して2か月足らずで月700万円超え。だが話を聞くほど、その数字は「お客様に元気を出してもらう」という一本の芯から出ていると分かる。朝6時のハイテンションも、メーカーとのコラボも、根っこはお客様との距離の詰め方。物を買わなくても面白い――その関西のコマースが、業界の次の形かもしれない。